村松事務所便り 2025年4月号(vol.255)

4月から教育訓練を受けると基本手当の給付制限が解除されます


 雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3か月間は基本手当を支給されません(「給付制限」といいます)。
 令和7年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになりました。


◆給付制限が解除され基本手当を受給できる方
 次のいずれかの教育訓練等(令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限る)を離職日前1年以内に受けた方(途中退校は該当しません)または離職日以後に受けている方
① 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
② 公共職業訓練等
③ 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
④ ①~③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練


◆給付制限解除のイメージ
 離職前1年以内に教育訓練等を受けたことがある場合は、待期満了後から給付制限が解除されます。離職日以後に教育訓練を受ける場合は、受講開始日以降給付制限を受けないことになります。


◆教育訓練等を受けた(受けている)場合の申出
 受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。
 給付制限期間が2か月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に教育訓練等の受講を開始する場合には、申し出の期限に注意が必要です。
① 「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」前である場合は、受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申し出をする必要があります。
② 「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」前である場合は、「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申し出をする必要があります。
令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省


「マイナ免許証」がはじまります


◆マイナンバーカードと運転免許証が一体化
 2025年3月24日から、マイナンバーカードと運転免許証および運転経歴証明書の一体化が開始されます。
 一体化の手続きができる施設は、一体化のみを行うのか免許更新と併せて行うかなどにより異なります。予約方法も手続内容により異なりますので、警視庁ホームページなどで確認しましょう。


◆一体化後の保有形態
 運転免許証のみを保有、今の運転免許証を返納してマイナ免許証のみを保有、マイナ免許証と運転免許証の2枚を保有、のいずれも可能です。ただし、マイナ免許証のみの場合は、国外運転免許証を申請する際に、渡航先の国により従来の運転免許証が必要になる場合があります


◆マイナ免許証のメリット
 マイナ免許証を保有していている人が必要な手続きを行うと、更新の際に受講する講習をオンラインで受講でき、更新にかかる時間も短縮されます。
 更新手数料は、運転免許証のみは2,850円、マイナ免許証のみは2,100円、2枚所持は2,950円です。講習手数料は、会場受講の場合、優良500円、一般800円に対し、オンライン受講は200円です。
 また、マイナ免許証のみを保有している人が必要な手続きを行うと、本籍・住所・氏名および生年月日に変更が生じた場合でも、警察への届出は不要となります。


◆注意事項
 マイナンバーカードの有効期限は、18歳以上は10年、18歳未満は5年とされていますが、マイナ免許証の有効期間は異なります。この有効期間はマイナンバーカードの券面には表記されず、マイナポータル等で確認するため、失効に注意が必要です。(マイナンバーカードと運転免許証の一体化について 警視庁


マネジメントが要因の残業の多さ・偏り

 働き方改革により、有給休暇取得率は着実に上がってきています。厚生労働省「就労条件総合調査」によると、2020年の56.3%から2024年には65.3%まで上昇し、政府目標の2028年・70%以上に向けて順調に推移しているようです。
 一方で、残業時間は全体的には減少傾向にはありますが、過労死の件数も増え続けています。また、人材不足や欠員補充の遅れによる社員のストレス増加が懸念されています。この背景には、残業の多さとともに人による偏りがあるのではないでしょうか。


◆マネジメント側の要因
 残業の多さと偏りについて、マネジメント側の要因としては以下が考えられます。
・長時間労働を美徳とする意識……こうした社風では、満足な採用もできないでしょう。
・業務量と人員のミスマッチ……適切な業務配分や人員配置を行わないことが原因です。
・非効率なプロセス管理……仕事のプロセスや効率性を客観的に分析しているでしょうか?
・時間管理スキルの不足……個人のスキル不足だけではなく、マネジメントによる適切な指導や       支援の欠如が原因の場合も…。
・業務の抱え込み……適切な業務配分を行わないマネジメントの問題でもあります。
  この状況を改善するには、マネジメント側の意識改革と効率的な業務プロセスの構築が不可欠です。適切な業務の管理が行われないと、残業時間の増大や優秀な人材の流出につながります。


◆効率化とスキルアップによる生産性向上
 わが国では、物価上昇に対して賃金上昇が十分とは言えない状況が続いています。そうした状況が長引くことで、残業代目当ての残業が増えるなどしては本末転倒です。会社が残業代を払えたとしても、社会情勢に逆行する管理方法は従業員満足度の低下を招きかねません。
 効率化、スキルアップによる改善こそ本道です。仕事のプロセスや効率性を客観的に分析し、改善につなげるアプローチについて一度検討してみてはいかがでしょうか。


当事務所より

健康経営優良法人2025ネクストブライト1000に認定されました。
「ネクストブライト1000」とは、健康経営優良法人認定企業の中から、特に従業員の健康づくりに優れた取り組みを実施し、社会的にも好影響を与えている企業が選ばれる新しい区分です。全国約20,000社の健康経営優良法人のうち、優れた1,000社(501位〜1500位。1位~500位は「ブライト500」)が認定されています。今後も、働く人々の健康を大切にする経営を推進し、職場環境の整備や健康支援を充実させていきます。