村松事務所便り 2025年8月号(vol.259)

精神障害の労災認定が過去最多、カスハラ原因は倍増
~厚生労働省「令和6年度の過労死等の労災補償状況」より

 厚生労働省は、令和7年6月25日、令和6年度の「過労死等の労災補償状況」の取りまとめを公表しました。
 令和6年度の過労死や仕事のストレスによる精神障害などを理由とした労災補償の請求件数は4,810件で、前年度から212件増え、過去最多となりました。実際に過労死等の労災認定された件数も、前年度より196件多い1,304件と過去最多となっています。


◆精神障害による労災認定件数は6年連続で過去最多
 仕事上の強いストレスが原因でうつ病などの精神障害となり、労災認定された人は1,055人で、前年度に比べて172人増えました。このうち、自殺や自殺未遂は88人で、9人増加しています。精神障害による労災と認定された人は6年連続で過去最多となり、初めて1,000人を超えました。


◆原因別の最多はパワハラ。カスハラはセクハラを上回り倍増
 原因別では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が224件で最多、次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が119件、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(カスタマーハラスメント)が108件でした。カスハラは、令和5年度から新たに原因項目に追加され、7か月分で52件でしたが、通年の今回はセクハラの105件を上回り、原因別で3番目の多さとなりました。
 カスハラは、昨今、大きな社会問題となっています。2025年6月に、改正労働施策総合推進法が成立し、企業にカスハラの防止対策が義務付けられました。この義務に違反した事業主は、報告徴求命令、助言、指導、勧告または公表の対象となります。労働者が1人でもいれば、事業主に該当すると考えられますので、まだ取り組み始めていない企業は、施行日までにカスハラ対策をすることが必要です。
令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省



10月から「教育訓練休暇給付金」の制度が始まります

 教育訓練休暇給付金とは、労働者が離職することなく教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、失業給付(基本手当)に相当する給付として賃金の一定割合を支給することで、訓練・休暇期間中の生活費を保障する制度です。
 一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者が、就業規則等に基づき連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する場合、教育訓練休暇給付金の支給が受けられます。


◆教育訓練休暇給付金の支給対象者
下記をすべて満たす必要があります。
① 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること。
② 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること。


◆受給期間・給付日数・給付日額
 給付を受けることのできる期間(受給期間)は、休暇開始日から起算して1年間であり、受給期間内の教育訓練休暇を取得した日について給付を受けられます。
 給付日数は、雇用保険に加入していた期間に応じて、基本手当の所定給付日数の90日分、120日分または150日分です。給付日額は、原則として休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。失業給付の算定方法と同じであり、休暇開始日の前日を離職日とみなして算定します。


◆教育訓練休暇給付金の支給対象となる休暇
下記をすべて満たす必要があります。
① 就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
② 労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇
③ 次に定める教育訓練等を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校又は各種学校
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
教育訓練休暇給付金 |厚生労働省


「仕事あり」の母親が8割超に
~厚生労働省「令和6年 国民生活基礎調査」より


◆働く母親が過去最高の8割超に
 厚生労働省が公表した令和6年「国民生活基礎調査」によると、児童(18歳未満)のいる世帯において、母親が「仕事あり」と回答した割合は80.9%に達しました。これは過去最高の水準であり、働く母親が社会の中でますます一般的な存在となっていることを示しています。
 こうした状況を背景に、企業には育児と仕事の両立支援のための環境整備がますます求められています。具体的には、柔軟な勤務形態(時短勤務、フレックスタイム制、テレワークなど)や、子育て支援に関する社内制度(子の看護等休暇、育児支援手当など)があります。また、男性育休の取得推進も重要です。こうした取組みに対して、国は助成金や認定制度も用意しています。


◆両立支援は未来への投資
 令和7年10月1日からは、改正育児・介護休業法により、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが事業主に義務付けられます。法律を守るという観点はもちろんですが、従業員のライフステージに寄り添った制度設計は、職場の定着率や生産性向上に資する投資ともいえます。夫婦で育児を担うという意識が社会に浸透し、若年層が就職・転職時に企業の育児支援制度を重視する傾向も強まっています。働き手が減少する中で、持続的な経営を実現するためにも、実効性のある人事施策を検討していくことが重要です。
調査の概要|厚生労働省



当事務所よりひと言

暑中お見舞い申し上げます。弊事務所は、夏季休暇を一斉に取得せず、各人が都合の良い日に取得させていただきます。つきましては、8月はカレンダー通りに営業しています。