外国人労働者に人事・労務を説明する際に役立つ支援ツール
日本の法制度や雇用慣行は外国人労働者にとっては馴染みのないことも少なくありません。そのため、厚生労働省から、職場のルールを理由や背景も含めて説明し、理解を深めてもらうことを目的とした支援ツールが出されています。
◆『外国人社員と働く職場の労務管理に使えるポイント・例文集』
採用、賃金、労働時間といった9つのテーマをあげ、雇用管理で実際に想定される場面ごとに、①外国人社員に説明する前に読んで理解しておくとよいポイント、②実際に外国人の方にそのまま話したり見せたりできるよう「やさしい日本語」による説明の例が紹介されています。例えば、採用後に労働者が提出する書類について、「日本では、あなたに代わって会社が税金や保険の計算をします。あなたのためにしますから、必要な情報を会社に教えてください。」とルビつきで示されています。
◆雇用管理に役立つ多言語用語集
人事・労務の場面でよく使用する労働関係、社会保険関係の用語約420語について、定義・例文を検索できる用語集です。やさしい日本語のほか、9言語(英語、韓国語、中国語(簡・繁)、タガログ語、ベトナム語、ネパール語、ポルトガル語、スペイン語、インドネシア語、カンボジア語、タイ語、ミャンマー語、モンゴル語)に対応しています。
就業規則などを外国人労働者に説明する際、理解が難しそうな用語などを検索して、翻訳を提示したり、外国人社員本人が、人事・労務用語の入社前の学習や辞書として活用したりすることが想定されています。
◆モデル就業規則ほか
厚生労働省のモデル就業規則は外国語版も出されています。そのほか、日本国内で働く外国人の方に向けた「労働条件ハンドブック」や外国人労働者の労災防止に役立つ教材、資料も整備されています。
【厚生労働省「外国人の方に人事・労務を説明する際にお困りではないですか?」
外国人の雇用 |厚生労働省】
【外国人労働者の安全衛生管理|厚生労働省】
健康保険の被扶養者認定は令和8年4月から労働契約内容で年間収入を判定
健康保険の被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)の年間収入については、認定対象者の過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入の見込みにより判定されていましたが、令和8年4月からは、就業調整対策の観点から、被扶養者認定の予見可能性を高めるため、次のとおり、労働契約段階で見込まれる収入を用いて被扶養者の認定を行うこととされました。
◆労働契約で定められた賃金(労働基準法第11条に規定される賃金をいい、諸手当および賞与も含まれる。)から見込まれる年間収入が130万円(認定対象者が60歳以上の者である場合または概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては、180万円。認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合にあっては150万円)未満であり、かつ、他の収入が見込まれず、
(1) 認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合には、被保険者の年間収入の2分の1未満であると認められる場合
(2) 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合には、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合
には、原則として、被扶養者に該当するものとして取り扱う。
◆労働契約の内容によって被扶養者の認定を行う場合は、労働基準法第15条の規定に基づき交付される「労働条件通知書」(以下「通知書」という。)等の労働契約の内容が分かる書類の添付および当該認定対象者に「給与収入のみである」旨の申立てを求めることにより確認する。具体的には、通知書等の賃金を確認し、年間収入が130万円未満(一定の場合は180万円または150万円未満)である場合には、原則として被扶養者として取り扱う。なお、労働契約の更新が行われた場合や労働条件に変更があった場合(以下「条件変更」という。)には、当該内容に基づき被扶養者に係る確認を実施することとし、条件変更の都度、当該内容が分かる書面等の提出を求める。
高齢者雇用のマインドセットを見直そう
◆義務対応を超えた戦略的アプローチ
2025年3月で65歳までの雇用確保義務の経過措置が終了し、すべての企業で完全実施が求められています。しかし、高年齢者の継続雇用については多くの企業が「仕方なく雇用継続する」という後ろ向きの発想(福祉的雇用)に留まっているのが現実で、これは大きな機会損失です。
高齢者が持つ豊富な経験と知識を適切に活用し、組織の貴重な資産とするために効果的なアプローチは「役割の再定義」です。従来の業務をそのまま継続させるのではなく、高齢者の強みを活かせる新しい役割を創出します。例えば、技術継承のメンター役、新人教育の指導者、顧客との長期的関係構築の担当者などです。
◆世代間連携で生産性を向上させる
高齢者雇用成功の鍵は「世代間連携」にあります。若手の斬新なアイデアとベテランの経験を組み合わせることで、相乗効果を生み出せます。
具体的な手法には、「リバースメンタリング」があります。ITスキルは若手が高齢者に教え、業界知識や顧客対応のコツは高齢者が若手に伝授するといった双方向の学習システムです。仕事に必要な情報をお互いに提供し合える関係性が構築されることで、知識の共有はもちろん、アイデアの活性化にもつながり、業務の改善・効率化にも有益です。
これからは“高齢労働者”ではなく、「ノウハウ人材」や「後継育成人材」という認識に改めたほうがよいでしょう。高齢者雇用は「コスト」ではなく「投資」だという経営者の意思表示も重要です。 制度設計や運用面では、年齢に応じた労働条件の設定、安全衛生管理、労働時間の配慮など、高年齢者雇用安定法に基づく適切な対応が求められます。法的リスクを回避しながら効果的な高齢者活用を実現しましょう。
当事務所よりひと言
今年も早いもので残り2ヶ月足らずとなり、また、これからは寒くなりますので、
ご自愛ください。
