村松事務所便り 2026年9月号(vol.272)

「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」最新版が公表されました

 厚労省が7月16日、「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」最新版を公表しました。
 事業主の対策が義務となっているパワハラ・セクハラ・マタハラ(妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメント)と、カスタマーハラスメント、求職者等セクシュアルハラスメントについて、ハラスメントに当たる行為を解説するとともに、「事業主の方針の明確化」「相談体制整備」「事後対応」「再発防止」など、事業主が講ずべき措置が具体的に整理され、各種資料も収録されています。



◆10月からの対策義務化に対応した内容
 カスタマーハラスメント防止に特有の措置としては、「対応の実効性を確保するために必要な抑止のための措置」を挙げています。具体的には、労働者に対し過度な要求を繰り返すなど特に悪質と考えられるものへの対処方針をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知するとともに、方針において定めた対処を行うことができる体制を整備します。
 求職者等セクシュアルハラスメント防止に特有の措置としては、「求職活動等に関するルールの明確化と周知・啓発」を挙げています。具体的には、求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者および求職者等への周知・啓発を行います。


◆活用にあたって
 就業規則・ハラスメント規程の規定例や社内掲示・社内周知の文例なども、収録されています。管理職・人事担当者向けの研修資料や相談窓口担当者の対応マニュアルの作成、従業員説明会での周知などに活用するとよいでしょう。

【参考】
「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf


座りすぎに注意! 健康リスクを防ぐポイント


◆座りすぎによる健康リスク
 目が覚めた状態で座ったり寝転んだりして行う行動を、「座位行動」といいます。日本人の座位時間は世界的に見てかなり長いことが報告されており、厚生労働省の調査によれば、座位時間が「8時間以上」と回答した男性は38%、女性は33%となっています。
 座りすぎは、肥満、認知機能の低下、血圧の上昇、腰の痛み、心肺機能の低下、筋肉量の減少、メンタルヘルス不調などと関連していることが、多くの研究で明らかになっています。


◆座りすぎを防ぐ・座りっぱなしを防ぐ
 1日の総座位時間が長いほど病気や死亡のリスクが高まる可能性あるので、できるだけ座る時間を短くするように工夫しましょう。
 例えば、短い打合せであれば立ったまま行う、立っても座っても作業ができる昇降型デスクを利用する、などです。また、30分ごとに椅子から立ち上がる、伸びをするなどして、少しでも身体を動かすようにします。


◆スポーツエールカンパニー認定取得の検討も!
 スポーツ庁では、社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取組みを行っている会社を「スポーツエールカンパニー」として認定しています。スポーツ競技に限らず、例えば、朝や昼休みなどに体操・ストレッチをするなどの運動機会の提供や、階段の利用や徒歩・自転車通勤の奨励、スタンディングミーティングの実施などの取組みも対象となります。
 認定されれば広く社内外にPRできるようになり、ハローワークの求人票等にPRロゴマークを表示することもできます。


「骨太の方針2026」と今後の労働時間法制の見直し


◆労働時間法制の見直し方針
 「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」では、「心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会で議論を行う」とされ、同日閣議決定された「日本成長戦略」に、その政策に関する具体的な内容が示されています。


◆裁量労働制・変形労働時間制の見直し
 裁量労働制については、健康確保や長時間労働防止、適切な処遇確保などの措置を前提に、対象の在り方について、見直しを検討します。
 変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や勤務予定の予見可能性に留意しつつ、見直しを検討します。


◆柔軟で多様な働き方の実現に向けて
 連続勤務規制や勤務間インターバル制度、「つながらない権利」、副業・兼業時の健康確保、テレワークに対応した労働時間管理などについても、労使双方の意見を踏まえながら制度の在り方を検討します。


◆企業は今後の動きに備える必要あり
 法改正ではなく、労働時間制度の運用について、時間外労働の実態を踏まえた、36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について相談支援の充実を速やかに実施するとの方針が示されています。あわせて、労働基準監督署が重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意に則った指導が行われるよう速やかに見直す、とも示されています。情報をチェックしておくとよいでしょう。


★9/1~労働基準監督署における対応の見直し
 「時間外・休日労働時間数のみに着目して1か月45時間以内への削減を求める一律の指導を見直し、各事業場が36協定で定める健康及び福祉を確保するための措置の実施状況を重点的に確認し、確認した状況に応じた必要な指導を行うこととします。なお、個々の事業場の実態を踏まえて、過重労働による健康障害が生じるおそれが高い場合には、引き続き必要な指導を行います。」<日本成長戦略(令和8年7月21日閣議決定)及び経済財政運営と改革の基本方針2026(同日閣議決定)において見直しがされました>

【参考】
経済財政運営と改革の基本方針2026( 2026_basicpolicies_ja.pdf )