村松事務所便り 2025年8月号(vol.259)

精神障害の労災認定が過去最多、カスハラ原因は倍増
~厚生労働省「令和6年度の過労死等の労災補償状況」より

 厚生労働省は、令和7年6月25日、令和6年度の「過労死等の労災補償状況」の取りまとめを公表しました。
 令和6年度の過労死や仕事のストレスによる精神障害などを理由とした労災補償の請求件数は4,810件で、前年度から212件増え、過去最多となりました。実際に過労死等の労災認定された件数も、前年度より196件多い1,304件と過去最多となっています。


◆精神障害による労災認定件数は6年連続で過去最多
 仕事上の強いストレスが原因でうつ病などの精神障害となり、労災認定された人は1,055人で、前年度に比べて172人増えました。このうち、自殺や自殺未遂は88人で、9人増加しています。精神障害による労災と認定された人は6年連続で過去最多となり、初めて1,000人を超えました。


◆原因別の最多はパワハラ。カスハラはセクハラを上回り倍増
 原因別では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が224件で最多、次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が119件、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(カスタマーハラスメント)が108件でした。カスハラは、令和5年度から新たに原因項目に追加され、7か月分で52件でしたが、通年の今回はセクハラの105件を上回り、原因別で3番目の多さとなりました。
 カスハラは、昨今、大きな社会問題となっています。2025年6月に、改正労働施策総合推進法が成立し、企業にカスハラの防止対策が義務付けられました。この義務に違反した事業主は、報告徴求命令、助言、指導、勧告または公表の対象となります。労働者が1人でもいれば、事業主に該当すると考えられますので、まだ取り組み始めていない企業は、施行日までにカスハラ対策をすることが必要です。
令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省



10月から「教育訓練休暇給付金」の制度が始まります

 教育訓練休暇給付金とは、労働者が離職することなく教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、失業給付(基本手当)に相当する給付として賃金の一定割合を支給することで、訓練・休暇期間中の生活費を保障する制度です。
 一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者が、就業規則等に基づき連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する場合、教育訓練休暇給付金の支給が受けられます。


◆教育訓練休暇給付金の支給対象者
下記をすべて満たす必要があります。
① 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること。
② 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること。


◆受給期間・給付日数・給付日額
 給付を受けることのできる期間(受給期間)は、休暇開始日から起算して1年間であり、受給期間内の教育訓練休暇を取得した日について給付を受けられます。
 給付日数は、雇用保険に加入していた期間に応じて、基本手当の所定給付日数の90日分、120日分または150日分です。給付日額は、原則として休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。失業給付の算定方法と同じであり、休暇開始日の前日を離職日とみなして算定します。


◆教育訓練休暇給付金の支給対象となる休暇
下記をすべて満たす必要があります。
① 就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
② 労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇
③ 次に定める教育訓練等を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校又は各種学校
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
教育訓練休暇給付金 |厚生労働省


「仕事あり」の母親が8割超に
~厚生労働省「令和6年 国民生活基礎調査」より


◆働く母親が過去最高の8割超に
 厚生労働省が公表した令和6年「国民生活基礎調査」によると、児童(18歳未満)のいる世帯において、母親が「仕事あり」と回答した割合は80.9%に達しました。これは過去最高の水準であり、働く母親が社会の中でますます一般的な存在となっていることを示しています。
 こうした状況を背景に、企業には育児と仕事の両立支援のための環境整備がますます求められています。具体的には、柔軟な勤務形態(時短勤務、フレックスタイム制、テレワークなど)や、子育て支援に関する社内制度(子の看護等休暇、育児支援手当など)があります。また、男性育休の取得推進も重要です。こうした取組みに対して、国は助成金や認定制度も用意しています。


◆両立支援は未来への投資
 令和7年10月1日からは、改正育児・介護休業法により、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが事業主に義務付けられます。法律を守るという観点はもちろんですが、従業員のライフステージに寄り添った制度設計は、職場の定着率や生産性向上に資する投資ともいえます。夫婦で育児を担うという意識が社会に浸透し、若年層が就職・転職時に企業の育児支援制度を重視する傾向も強まっています。働き手が減少する中で、持続的な経営を実現するためにも、実効性のある人事施策を検討していくことが重要です。
調査の概要|厚生労働省



当事務所よりひと言

暑中お見舞い申し上げます。弊事務所は、夏季休暇を一斉に取得せず、各人が都合の良い日に取得させていただきます。つきましては、8月はカレンダー通りに営業しています。

村松事務所便り 2025年7月号(vol.258)

カスハラ・就活セクハラ対策を盛り込む法改正が行われます

 6月4日、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。一部を除き、公布の日から起算して1年6月以内で政令で定める日に施行されます。


◆改正の概要

1.ハラスメント対策の強化【労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法】
① カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化する。

② 求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化する。

③ 職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動を行う国の責務を定める。


2.女性活躍の推進【女性活躍推進法】
① 男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付ける。

② 女性活躍推進法の有効期限を令和18年3月31日まで、10年間延長する。

③ 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨を、基本原則において明確化する。

④ 政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付ける。

⑤ 女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加する。

⑥ 特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図る。


3.治療と仕事の両立支援の推進【労働施策総合推進法】
 事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。
令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について|厚生労働省


中小企業の正社員賃上げ率4.03% 実施しない企業も 二極化傾向に
~日本商工会議所・東京商工会議所の調査より

 日本商工会議所・東京商工会議所は6月4日、「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果を発表しました。全国の会員企業を対象に調査したもので、2025年4月14日から5月16日にかけて行い、3,042社から回答を得ました。
 定期昇給とベースアップを合わせた正社員の賃上げ率が平均で4%を超えましたが、一方で、賃上げしない企業も全体の2割に及び、二極化の傾向がみられるとしています。


◆賃上げを実施する企業は全体で約7割、20人以下の小規模企業で約6割
 2025年度に賃上げを実施した企業(予定を含む)は69.6%と、前年より4.7ポイント低下しました。20人以下の小規模企業では57.7%で5.6ポイント低下しています。
 また、現時点で「未定」との回答は23.5%で3.1ポイント上昇。価格転嫁の遅れや米国関税措置等で先行き不透明感を懸念する声もあり、昨年に比べ、「未定」の回答が増加しています。


◆正社員の賃上げ率は4.03%、昨年比0.41ポイントの増加
 中小企業全体の正社員の賃上げ額(月給)は、加重平均で1万1,074円と、昨年より1,412円上回りました。賃上げ率は4.03%で、昨年対比では、0.41ポイント増加しています。
 20人以下の小規模企業では、賃上げ額(月給)は加重平均9,568円、賃上げ率は3.54%で、昨年より0.20ポイントの増加です。


◆パート・アルバイトの賃上げ率は4.21%、昨年比0.78ポイントの上昇
 パート・アルバイト等の賃上げ額(時給)は46.5円、賃上げ率は4.21%で0.78ポイントの増加です。
 一方、20人以下の小規模企業では、賃上げ額は37.4円、賃上げ率は3.30%で、昨年より0.58ポイントの減少となっています。
 賃上げ率は全体では4%を超えるなど、中小企業も賃上げに最大限努力していますが、小規模企業は全体と比較し賃上げ額・率ともに低位となっていることから、より重点的な支援が求められます。
「中小企業の賃金改定に関する調査」の集計結果について~中小企業の賃上げ率は正社員全体で4.03%、20人以下の小規模企業で3.54%~|日本商工会議所


改正公益通報者保護法が成立しました

 6月4日に公益通報者保護法の一部を改正する法律案が参院本会議で可決、成立しました。公益通報者保護法は、従業員が公益のために事業者の法律違反行為の通報を行ったことを理由として解雇等の不利益な取扱いを受けることのないよう保護することを目的としており、下記について改正されます(公布から1年半以内に施行)。


◆フリーランスが「公益通報」の対象に
 特定受託業務従事者(フリーランス)が公益通報者の範囲として追加されます。フリーランスや業務委託関係が終了して1年以内にフリーランスであった人が公益通報をしたことを理由に、業務委託に係る契約の解除等の不利益な取扱いをすることが禁止となります。


◆「解雇・懲戒」が刑事罰の対象に
 公益通報したことを理由に従業員などを解雇や懲戒処分にする行為を刑事罰の対象とし、処分を決めた担当者には「6か月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金」を、法人には「3,000万円以下の罰金」を科すとしています。また、通報者が、通報後1年以内に解雇や懲戒を受けた場合は通報への報復を受けたと推定し、処分した側が「通報が理由ではない」と主張する場合はその立証責任を負うことになります。
 一方、通報者への不当な配置転換や嫌がらせへの罰則については、今回の改正では見送られました。


◆その他の改正事項
 消費者庁長官の事業者(常時使用する労働者が300人超に限る)への執行権限の強化として、事業者への立入検査権、勧告に従わない場合の命令権が新設されました。また、通報妨害の禁止、公益通報者を探索する行為の禁止が新たに規定されました。
 施行までに改正内容を把握し、自社の体制や運用を見直していくことが必要となります。
「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」の閣議決定について | 消費者庁

村松事務所便り 2025年6月号(vol.257)

カスハラ被害の体験者+遭遇者は6割近くに~東京都産業労働局調査から


 近年、社会的問題となっている「カスタマーハラスメント(カスハラ)」は、多種多様な仕事とその働き手が集中する東京都では特に深刻化しており、今年4月にはカスハラ防止条例が施行されました。以下の調査は、東京都内在住・勤務の15歳以上の男女に、カスハラについてWeb調査を行った結果を東京都産業労働局がまとめたものです。


◆調査結果のポイント
・カスハラという言葉も意味も知っている:57.3%
・カスハラが増加していると思う:79.6%
・就業中に自身がカスハラ被害にあった:16.8%
・就業中にカスハラを見聞きした:36.3%
・カスハラ被害にあったことも見聞きしたこともない:40.3%
・カスハラ被害にあった場面
→対面(接客時など):51.2%、電話・メール:33.2%
・カスハラ行為
→威圧的な言動(声を荒げる、にらむ、物を叩くなど):63.8%、継続的・執拗な言動や行為(何度も電話、要求を繰り返す):28.9%
・カスハラ被害の対応方法
→管理職・上司が対応:40.3%、自分1人で対応:32.0%、同僚が対応:31.7%
・勤務先のカスハラ対策の実施
→行っている23.0%、行っているが不十分:27.6%、行っていない:49.3%
・行っている場合の内容
→基本方針の策定・周知:60.5%、対応マニュアルの整備46.4%
・対策をしているができていない理由
→対応のノウハウがない:46.7%、対応できる人材が不足している:37.2%
・カスハラ対策として効果があると思うもの
→対応マニュアルの整備:56.4%、基本方針の策定・周知:51.5%

 業種別にみると、実際に被害にあった割合が一番多かったのは「農林漁業」(61.5%)で、見聞きしたことのある割合が多かったのは「学術研究、専門・技術サービス業」(53.2%)、両方ないのは「運輸業・郵便業」(52.5%)でした。
 北海道や群馬県でも先だってカスハラ条例が制定されています。カスハラ対応を企業に義務付ける労働施策総合推進法の改正も閣議決定され、成立は目前です。企業にとっては、対応マニュアルや基本方針を策定するなどの対応が必要となります。
【東京都産業労働局「カスタマーハラスメントに関する都民調査」サイト参照】


違法の可能性も…自爆営業に要注意!


◆自爆営業とは?
 自爆営業とは、従業員が会社の売上目標やノルマを達成するために、自腹で自社の商品を購入する行為を指します。例えば、郵便局員が年賀はがきを自腹で購入するケースや、コンビニの従業員が売れ残った商品を買い取るケースが典型的です。従業員の経済的損失や精神的苦痛につながるものとして、近年問題視されています。
 企業が従業員に対して売上目標やノルマを設定すること自体は違法ではありません。しかし、その達成方法や強要の度合いによっては、民法や労働関係法令上の様々な問題が生じ得ます。


◆問題となる事例
 厚生労働省もこうした自爆営業等を念頭に、注意を呼びかけるリーフレット「労働者に対する商品の買取り強要等の労働関係法令上の問題点」を公表しています。ここでは、問題となる事例として以下が挙げられています。
・使用者としての立場を利用して、労働者に不要な商品を購入させた
・労働者に対して自社商品の購入を求めたが、労働者がこれを断ったため、懲戒処分や解雇を行った
 ほかにも、注意が必要なケースとして以下が挙げられています。
・従業員ごとに売上高のノルマを設定しており、ノルマ未達成の場合には人事上の不利益取扱いを受けることを明示していたところ、ノルマ達成のため、労働者自身の判断で商品を購入した
・現実的に達成困難なノルマを設定し、ノルマ未達成の場合には人事上の不利益処分を行うこととしている
 自爆営業は従業員に大きな負担を強いる行為です。行き過ぎたペナルティや買取り強要が生じないよう、周知・管理の徹底に努めましょう。
【厚生労働省「労働者に対する商品の買取り強要等の労働関係法令上の問題点」サイト参照】


学生バイトを雇う際に注意すべき労働条件


◆「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン
 厚生労働省では、全国の大学生等を対象に、多くの新入学生がアルバイトを始めるこの時期に、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施し(4月1日~7月31日まで)、大学等での出張相談やリーフレットの配布などを行っています。そこでは、「勝手にシフトが変わっている!」「代わりにバイトする人を見つけられないとやめられない」「忙しいと休憩時間がもらえない!」など、“おかしい”と思ったら、まずは労働基準監督署等に相談することを呼びかけています。企業としても、今一度アルバイトを雇う際の労働条件について確認しましょう。


◆書面で労働条件を示す
①労働契約の期間
②契約期間がある場合、更新の有無、更新上限、更新する場合の判断基準など
③仕事の場所、内容、変更の範囲
④始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交替のローテーション
⑤バイト代の決め方、計算と支払方法、支払日(最低賃金を下回らない)
⑥退職時・解雇時の決まり
⑦有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、無期転換申込みに関する事項・無期転換後の労働条件など
 なお、労働者が希望した場合は、メール等(印刷できるもの)による明示も可能です。


◆学業とアルバイトが両立できるようなシフトを設定する
 学生の本分は学業であることを踏まえたシフト設定が必要です。また、採用時に合意したシフト変更等について、事業者が一方的に変更を命じることはできません。


◆アルバイトの労働時間も適切に把握する
 労働時間の管理が必要なのはアルバイトであっても変わりません。


◆商品を強制的に購入させることや一方的にその代金を賃金から控除することは禁止
 公序良俗に反して無効となりますし、不法行為として損害賠償が認められる可能性があります。


◆遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることは禁止!
 遅刻等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることはできません。また、遅刻を繰り返すなどの規律違反行為への制裁として、無制限に減給することもできません。

【厚生労働省「令和7年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施しす」】

村松事務所便り 2025年5月号(vol.256)

令和7年度の地方労働行政運営方針-「フリーランス等の就業環境の整備」

 厚生労働省は4月1日、「令和7年度地方労働行政運営方針」を策定しました。各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえた行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしています。運営方針には、重点的に取り組むべき施策として、「最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、非正規雇用労働者への支援」「リ・スキリング、ジョブ型人事(職務給)の導入、労働移動の円滑化」「人手不足対策」「多様な人材の活躍促進と職場環境改善に向けた取組」が挙げられています。
 以下、「多様な人材の活躍促進と職場環境改善に向けた取組」の中にある「フリーランス等の就業環境の整備」について紹介します。


◆現状の課題
 フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、令和6年11月に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(「フリーランス法」)の履行確保を図る必要があるとしています。同法は、発注事業者に、①取引条件の明示等を義務付け、報酬の減額などを禁止するとともに、②フリーランスの育児介護等に対する配慮やハラスメント行為に係る相談体制の整備等を義務付けるものです。
 また、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランスからの相談にも丁寧に対応する必要があるとしています。

◆取組事項
 フリーランスから本法の就業環境の整備違反に関する申出があった場合に、速やかに申出内容を聴取し、発注事業者に対する調査、是正指導等を行うなど、本法の着実な履行確保を図るとするものです。また、フリーランスから委託事業者等との取引上のトラブルについての相談があった際には、引き続き「フリーランス・トラブル110番」(弁護士に無料で相談できる)を紹介するなど適切に対応するとしています。
 さらに、全国の監督署に設置されている「労働者性に疑義がある方の労働基準法相談窓口」に申告がなされた場合には、特段の事情がない限り、原則として労働者性の有無を判断し、必要な指導を行うとします。また、被用者保険の更なる適用促進を図るため、監督署において労働基準法上の労働者と判断した事案については、日本年金機構年金事務所および労働局労働保険適用徴収部門への情報提供を徹底するとしています。


令和7年度の「キャリアアップ助成金」の主な変更点

 令和7年度のキャリアアップ助成金のパンフレットやリーフレットが公表されました。4月以降の変更点のポイントについて説明していきます。なお、ここでは大企業の支給額は省略し、中小企業の支給額のみを掲載します。


◆正社員化コースの変更点
 キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者を企業内でキャリアアップさせ、正社員転換や待遇改善を行う企業を支援する制度です。
 まず、正社員転換等をした場合に助成される「正社員化コース」では、重点支援対象者が導入されました。重点支援対象者とは、雇入れから3年以上経過した有期雇用労働者、派遣労働者、母子家庭の母、人材開発支援助成金の対象訓練を受けて正社員へ転換した者等のことをいいます。これまでは、「有期→正規」「無期→正規」への転換の場合、2期分の合計でそれぞれ80万円、40万円が支給されていましたが、4月からは重点支援対象者に支給されることになります。
 対象以外の人には、1期(6か月)分のみ半額の40万円、20万円が支給されます。なお、新規学卒者については、雇い入れられた日から起算して1年未満のものについては、支給対象者から除外となります。


◆賃金規定等改定コースの変更点
 「賃金規定等改定コース」では、賃上げ引上げ区分が従来の2区分から4区分に細分化され、助成額が拡充されました。3%以上4%未満で4万円、4%以上5%未満で5万円、5%以上6%未満で6.5万円、6%以上で7万円となります。
 さらに、有期雇用労働者等の基本給の3%以上を引き上げた場合、1事業所当たり1回のみ20万円が加算されます。


厚生労働省が不妊治療と仕事との両立に関する資料を公開しました


◆不妊治療をめぐる現状
 日本全体の出生数は下がっているなか、不妊の検査や治療を受けるカップルは増加傾向にあり、令和3年(2021年)に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の数は「約4.4組に1組」となっています(厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」)。不妊治療にあたっては女性に大きな負担がかかり、キャリア継続に支障をきたすことは珍しくありません。経営者はじめ社会全体で理解を深め、対策を講じていくことが重要です。
 そうしたなか、厚生労働省から、不妊治療と仕事との両立に関する新しい資料として、「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」および「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」の2つが公開されています。ぜひ、サイトをご覧くださいませ。


両立支援等助成金に「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」が新設されました

 令和7年度から両立支援等助成金に、「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」が新設されました。既存の不妊治療両立支援コースの支給対象事業主と要件を見直したもので、更年期の心身の不調、月経困難症など女性の健康課題への対応と、仕事の両立を実現するための環境整備に取り組む中小企業を対象にしています。


◆「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」の概要
 不妊治療と仕事との両立、女性の健康課題である月経に起因する症状や更年期における心身の不調への対応と仕事との両立に資する職場環境の整備に取り組み、不妊治療、女性の健康課題対応を図るために利用可能な休暇制度等(休暇制度(多目的・特定目的とも可)・所定外労働制限制度(残業免除)・時差出勤制度・短時間勤務制度・フレックスタイム制・在宅勤務等)を導入し、労働者に制度を利用させた中小企業事業主に助成するものです。この助成金は事業所単位ではなく事業主単位で支給です。


◆助成金の種類
 助成金は、支給要領に定める次の場合に支給します。

イ 不妊治療
 不妊治療と仕事との両立支援制度について、労働協約または就業規則等の規定整備により導入し、対象労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合に支給する。

ロ 女性の健康課題対応(月経)
 月経に起因する症状への対応を図るための制度について、労働協約または就業規則等の規定整備により導入し、対象労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合に支給する。

ハ 女性の健康課題対応(更年期)
 更年期における心身の不調への対応を図るための制度について、労働協約または就業規則等の規定整備により導入し、対象労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合に支給する。


2025.4~在職老齢年金支給停止額51万円 (前年度50万円)、2026.4~62万円です。

村松事務所便り 2025年4月号(vol.255)

4月から教育訓練を受けると基本手当の給付制限が解除されます


 雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3か月間は基本手当を支給されません(「給付制限」といいます)。
 令和7年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになりました。


◆給付制限が解除され基本手当を受給できる方
 次のいずれかの教育訓練等(令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限る)を離職日前1年以内に受けた方(途中退校は該当しません)または離職日以後に受けている方
① 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
② 公共職業訓練等
③ 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
④ ①~③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練


◆給付制限解除のイメージ
 離職前1年以内に教育訓練等を受けたことがある場合は、待期満了後から給付制限が解除されます。離職日以後に教育訓練を受ける場合は、受講開始日以降給付制限を受けないことになります。


◆教育訓練等を受けた(受けている)場合の申出
 受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。
 給付制限期間が2か月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に教育訓練等の受講を開始する場合には、申し出の期限に注意が必要です。
① 「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」前である場合は、受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申し出をする必要があります。
② 「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」前である場合は、「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申し出をする必要があります。
令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省


「マイナ免許証」がはじまります


◆マイナンバーカードと運転免許証が一体化
 2025年3月24日から、マイナンバーカードと運転免許証および運転経歴証明書の一体化が開始されます。
 一体化の手続きができる施設は、一体化のみを行うのか免許更新と併せて行うかなどにより異なります。予約方法も手続内容により異なりますので、警視庁ホームページなどで確認しましょう。


◆一体化後の保有形態
 運転免許証のみを保有、今の運転免許証を返納してマイナ免許証のみを保有、マイナ免許証と運転免許証の2枚を保有、のいずれも可能です。ただし、マイナ免許証のみの場合は、国外運転免許証を申請する際に、渡航先の国により従来の運転免許証が必要になる場合があります


◆マイナ免許証のメリット
 マイナ免許証を保有していている人が必要な手続きを行うと、更新の際に受講する講習をオンラインで受講でき、更新にかかる時間も短縮されます。
 更新手数料は、運転免許証のみは2,850円、マイナ免許証のみは2,100円、2枚所持は2,950円です。講習手数料は、会場受講の場合、優良500円、一般800円に対し、オンライン受講は200円です。
 また、マイナ免許証のみを保有している人が必要な手続きを行うと、本籍・住所・氏名および生年月日に変更が生じた場合でも、警察への届出は不要となります。


◆注意事項
 マイナンバーカードの有効期限は、18歳以上は10年、18歳未満は5年とされていますが、マイナ免許証の有効期間は異なります。この有効期間はマイナンバーカードの券面には表記されず、マイナポータル等で確認するため、失効に注意が必要です。(マイナンバーカードと運転免許証の一体化について 警視庁


マネジメントが要因の残業の多さ・偏り

 働き方改革により、有給休暇取得率は着実に上がってきています。厚生労働省「就労条件総合調査」によると、2020年の56.3%から2024年には65.3%まで上昇し、政府目標の2028年・70%以上に向けて順調に推移しているようです。
 一方で、残業時間は全体的には減少傾向にはありますが、過労死の件数も増え続けています。また、人材不足や欠員補充の遅れによる社員のストレス増加が懸念されています。この背景には、残業の多さとともに人による偏りがあるのではないでしょうか。


◆マネジメント側の要因
 残業の多さと偏りについて、マネジメント側の要因としては以下が考えられます。
・長時間労働を美徳とする意識……こうした社風では、満足な採用もできないでしょう。
・業務量と人員のミスマッチ……適切な業務配分や人員配置を行わないことが原因です。
・非効率なプロセス管理……仕事のプロセスや効率性を客観的に分析しているでしょうか?
・時間管理スキルの不足……個人のスキル不足だけではなく、マネジメントによる適切な指導や       支援の欠如が原因の場合も…。
・業務の抱え込み……適切な業務配分を行わないマネジメントの問題でもあります。
  この状況を改善するには、マネジメント側の意識改革と効率的な業務プロセスの構築が不可欠です。適切な業務の管理が行われないと、残業時間の増大や優秀な人材の流出につながります。


◆効率化とスキルアップによる生産性向上
 わが国では、物価上昇に対して賃金上昇が十分とは言えない状況が続いています。そうした状況が長引くことで、残業代目当ての残業が増えるなどしては本末転倒です。会社が残業代を払えたとしても、社会情勢に逆行する管理方法は従業員満足度の低下を招きかねません。
 効率化、スキルアップによる改善こそ本道です。仕事のプロセスや効率性を客観的に分析し、改善につなげるアプローチについて一度検討してみてはいかがでしょうか。


当事務所より

健康経営優良法人2025ネクストブライト1000に認定されました。
「ネクストブライト1000」とは、健康経営優良法人認定企業の中から、特に従業員の健康づくりに優れた取り組みを実施し、社会的にも好影響を与えている企業が選ばれる新しい区分です。全国約20,000社の健康経営優良法人のうち、優れた1,000社(501位〜1500位。1位~500位は「ブライト500」)が認定されています。今後も、働く人々の健康を大切にする経営を推進し、職場環境の整備や健康支援を充実させていきます。

健康経営優良法人2025ネクストブライト1000に認定されました。

この度、社会保険労務士法人村松事務所は「健康経営優良法人ネクストブライト1000」に認定されました。

「ネクストブライト1000」とは、健康経営優良法人認定企業の中から、特に従業員の健康づくりに優れた取り組みを実施し、社会的にも好影響を与えている企業が選ばれる新しい区分です。全国約17,000社の健康経営優良法人のうち、特に優れた1,000社(501位〜1500位)が認定されています。

今後とも、社会保険労務士法人として働く人々の健康を大切にする経営を推進します。また当事務所といたしましても働きやすい職場環境の整備や健康支援施策を充実させていきます。

村松事務所便り 2025年3月号(vol.254)

2026年度高卒人材採用に関する確認ポイント


◆採用スケジュール
 2026年3月新規高等学校卒業者の選考日程は、下記のとおりです。
 
 ・ハローワークによる受付開始:6月1日
 ・学校への求人申込みおよび学校訪問開始:7月1日
 ・生徒の応募書類提出開始:9月5日(沖縄県は8月30日)
 ・就職試験(選考開始)および内定開始:9月16日

 高卒人材の募集は、ハローワークで求人受付をした上で高校への求人申込みをするなど、大学新卒者や中途採用と異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。


◆応募書類に変更あり
 厚生労働省の履歴書様式例から性別欄が削除されたこと等を踏まえ、全国高等学校統一応募用紙が、2026年度より見直されます。履歴書と調査書とで、それぞれ次のような変更点あり。


◆履歴書の変更点
1「性別欄」を削除
2「学歴・職歴欄」を「在籍校欄」と「職歴欄」に変更
3「趣味・特技欄」を削除
4「志望の動機欄」を「志望の動機・アピールポイント欄」に変更
 「志望の動機欄」には「志望の動機、自己PR、特技等を記入すること」、また「備考欄」には資格や校内外の諸活動、志望の動機・アピールポイント等「以外で記入したい事項がある場合に記入すること」とされています。


◆調査書の変更点
1「総合的な学習の時間」を「総合的な探究(学習)の時間」に変更
2「身体状況欄」を削除
3「本人の長所・推薦事由欄」を「本人のアピールポイント・推薦事由等欄」に変更
4「特記事項欄」を追加
5 押印を削除
「特記事項欄」は、「休学の期間がある場合」「職業の特性等において必要な要件として、身体状況(視力及び聴力など)及び配慮事項の記載が求められる場合」などに記入すること、とされています。
【厚生労働省「令和8年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました」】



従業員の不祥事発覚時の初動対応


◆初動対応の基本
 従業員による不祥事が発覚した場合、企業がその対応を誤ると、社内外からの信用を大きく損ねてしまう可能性があります。被害を最小限とするために、基本的な対応策を押さえておきましょう。

①担当者を選任し、事実関係を把握
 まずは事実関係を迅速に把握することが重要です。担当者を選任し、調査に当たります。関係者へのヒアリングや関連資料の確認を通じて、正確な情報を収集しましょう。その際、誰が、どのように調査を行うのかには慎重な判断が必要です。専門家に相談することも視野に入れておきましょう。社外からの問合せが想定される状況であれば、対応方針を決めておくのも重要です。

②情報開示とコミュニケーション
 不祥事の事実が確認されたら、速やかに情報開示を行います。被害者、株主や取引先、従業員などに対して、誠実かつ透明性のあるコミュニケーションを図ることが信頼回復の第一歩です。確かな事実に基づき、冷静かつ真摯に対応を行います。情報開示の範囲は事案によって異なりますが、社会的影響や被害者保護、再発防止の観点から判断していきます。

③被害者対応
 不祥事によって被害を受けた方々への対応も重要です。被害者の立場に立ち、誠実に謝罪し、適切な補償を行うことで、企業の責任を果たします。信頼を取り戻すためには、迅速かつ誠実な対応が不可欠です。


◆再発防止に取り組む
 初動対応のあとは、原因を徹底調査し、内部統制の強化や従業員教育など、再発防止に取り組むことが重要です。従業員の不祥事など考えたくないことかもしれません。ですが、誤った対応をしないよう、準備をしておくことが大切です。


出所者を雇う協力雇用主に対する支援制度


◆協力雇用主とは?
 刑務所や少年院の出所者、保護観察者などを雇用し、または雇用しようとする意思があるとして保護観察所に登録した民間事業主のことです。協力雇用主は、就労機会の提供だけでなく、社会生活の指導や助言をする役割も担います。全国で約2万5,000社が登録していますが、実際に雇用している会社は4%ほどです。
 協力雇用主になるためには、保護観察所(国)に登録する必要がありますので、まずは事業所の所在地を管轄する保護観察所に連絡します。その際、協力雇用主から暴力団を排除するため、役員等名簿、登記事項証明書等の提供が求められます。


◆協力雇用主が出所者を雇うまでの流れ
①保護観察所に登録して協力雇用主になる
②ハローワークに求人をかける(制度上、保護観察所からは出所者の紹介はないため)
③ハローワークに応募した出所者を雇用する


◆協力雇用主に対する支援制度

①保護観察所による相談支援
 本人への接し方や配慮すべき事項等については、保護観察所が相談に乗ってくれます。具体的には、心理学・教育学・社会学等の専門的知識をもつ国家公務員である保護観察官や地域性・民間性をもつボランティアである保護司から助言等を受けることができます。

②協力雇用主に対する刑務所出所者等就労奨励金
 実際に雇用し、就労継続に必要な生活指導や助言などを行う協力雇用主に対し、年間最大72万円の奨励金が支払われます。
 条件として、労災保険・雇用保険の加入手続を行っていることなど、一定の要件を満たす必要があります。また、協力雇用主は、就労継続のための指導等(挨拶や言葉遣いの重要性を説き、具体例を用いて人への接し方について助言を行うなど)と、指導等内容の報告が求められます。

③公共工事等の競争入札における優遇制度
 地方自治体の間で公共工事等の競争入札における協力雇用主に対する優遇制度の導入が広がっており、その場合、優遇を受けられることがあります。【法務省「協力雇用主」】

村松事務所便り 2025年2月号(vol.253)

SNS等に労働者の募集に関する情報を載せる際の注意点


◆労働者の募集広告には、募集主の氏名等の表示が必要
 職業安定法では、インターネットやX等のSNSを含む広告等により、労働者の募集に関する情報等を提供するときは、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないこととされています(第5条の4)。
 昨今、インターネットで犯罪実行者の募集が行われる事案(闇バイト)が見られ、その中には、通常の労働者募集と誤解を生じさせるような広告等も見受けられることから、厚生労働省は、SNS等を通じて直接労働者を募集する際には、①募集主の氏名(または名称)、②住所、③連絡先(電話番号等)、④業務内容、⑤就業場所、⑥賃金の6情報は必ず表示するよう、事業者に呼びかけています。

○「住所(所在地)」はどこまで記載すればよいか?
 ビル名、階数、部屋番号まで記載する必要があります。

○「連絡先」として何を記載すればよいか?
 電話番号、メールアドレスまたは、自社ウェブサイト上に備え付けられた専用の問合せフォ        ームへのリンクのいずれかを記載する必要があります。

○氏名等の情報自体を記載せず、氏名等の情報が記載されている会社ウェブサイトの募集要項等のリンクを記載することでも問題ないか?
 会社ウェブサイトの募集要項等のリンクのみでは、そもそも求人であるかどうかも含め、誤解を招く可能性があるため、募集情報を提供する広告等自体に上記6情報を記載する必要があります。

○業務内容、就業場所および賃金については、職業安定法第5条の3や労働基準法第15条で求められるのと同じように詳細を記載する必要があるか?
 必ずしも同じである必要はないが、求職者が誤解を生じないよう、業務内容や就業場所、賃金について記載する必要があるとしています。例えば、就業場所について、「就業場所の変更の範囲」は記載せず「雇入れ直後の就業場所」のみを示す形や、複数の候補を示し、「応相談」とする形、賃金について、「時給1,500円~」とする形でも、記載があれば、直ちに職業安定法第5条の4違反とはならないと考えられるとしています。
【厚生労働省「労働者の募集広告には、「募集主の氏名(又は名称)・住所・連絡先(電話番号等)・業務内容・就業場所・賃金」の表示が必要です」】


外国人の雇用実態に関する初の調査結果から


◆外国人雇用実態調査とは
 厚生労働省は、「令和5年外国人雇用実態調査」の結果を公表しました。この調査は、外国人労働者を雇用する事業所における外国人労働者の雇用形態、賃金等の雇用管理の状況および当該事業所の外国人労働者の状況、入職経路、前職に関する事項等について明らかにすることを目的として、初めて実施されました。
 同調査は、雇用保険被保険者5人以上かつ外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所および当該事業所に雇用されている外国人常用労働者が対象で、抽出された9,450事業所のうち有効回答を得た3,534事業所および1万1,629人について集計しています。調査結果のポイントは以下の通りです。


◆事業所に対する調査
 外国人労働者数(雇用保険被保険者数5人以上事業所)は約160万人で、在留資格別にみると、「専門的・技術的分野」が35.6%、「身分に基づくもの」が30.9%、「技能実習」が22.8%となっています。
 一般労働者が毎月きまって現金で支給される給与額(超過勤務手当を含む)は26万7,700円で、1か月の総時間(所定内実労働時間)は155.8時間、超過実労働時間は19.8時間となっています。
外国人労働者を雇用する理由は、「労働力不足の解消・緩和のため」が64.8%と最も高く、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.8%、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」が18.5%、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」が16.5%となっています。


◆労働者に対する調査
 外国人労働者の国籍・地域をみると、ベトナムが 29.8%と最も多く、次いで中国(香港、マカオ含む)が 15.9%、フィリピンが 10.0%となっています。
 就労上のトラブルや困ったことについては、「なし」が82.5%、「あり」が14.4%と回答しています。「あり」と回答した人の内容(複数回答)をみると、「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」が19.6%、「トラブルや困ったことの相談先がわからなかった」が16.0%、「事前の説明以上に高い日本語能力が求められた」が13.6%、「その他」が34.5%となっています。
 今後、外国人の雇用を検討する際の参考としてください。【厚生労働省「令和5年外国人雇用実態調査の概況」】


障害者の雇用状況と法定雇用率引上げ
~厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」等より

 厚生労働省は令和6年12月20日、令和6年の「障害者雇用状況」集計結果を公表しました。障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率。民間企業においては2.5%)以上の障害者を雇うことを義務付けています。


◆民間企業における雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新
 民間企業(常用労働者数が40.0人以上の企業:法定雇用率2.5%)に雇用されている障害者の数は67万7,461.5人(3万5,283.5人増、対前年比5.5%増)、実雇用率2.41%(対前年比0.08ポイント上昇)で、雇用障害者数、実雇用率いずれも過去最高を更新しています。一方で、法定雇用率達成企業の割合は46.0%(対前年比4.1ポイント低下)となっています。


◆雇用者の内訳では、精神障害者の雇用増加の伸び率が大きい
 雇用者のうち、身体障害者は36万8,949.0人(対前年比2.4%増)、知的障害者は15万7,795.5人(同4.0%増)、精神障害者は15万717.0人(同15.7%増)と、いずれも前年より増加しています。特に精神障害者の伸び率が大きくなっています。


◆法定雇用率未達成企業の状況
 法定雇用率の未達成企業は6万3,364社で、そのうち、不足数が0.5人または1人である企業(1人不足企業)が、64.1%と過半数を占めています。また、障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は3万6,485社であり、未達成企業に占める割合は、57.6%となっています。
 法定雇用率は、令和8年度に2.7%へと段階的に引き上げられます。企業は継続して障害者雇用の推進に取り組む必要があります。【厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」】

村松事務所便り 2025年1月号(vol.252)

価格交渉促進月間(2024年9月)のフォローアップ調査結果~中小企業庁

 原材料費やエネルギー価格、労務費などが上昇する中、多くの中小企業が価格交渉・価格転嫁できる環境を整備するため、中小企業庁では2021年9月より、毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と設定し、受注企業が発注企業にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施しています。
 2024年11月29日に公表された同年9月のフォローアップ調査の結果では、価格転嫁に関する発注側企業による説明状況や、サプライチェーンの各段階における価格転嫁の状況、官公需における価格交渉・価格転嫁の状況についても初めて調査が行われました。



◆価格交渉の状況

 直近6か月間における価格交渉の状況は、「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回から約2ポイント増の28.3%、「価格交渉が行われた」割合も前回から約1ポイント増の86.4%でした。
 発注企業からの申し入れは浸透しつつあるものの、受注企業の意に反して「交渉が行われなかった」割合が約1.5割あり、引き続き、労務費指針の徹底等による価格交渉・転嫁への機運醸成が必要です。


◆価格転嫁の状況

 コスト全体の価格転嫁率は49.7%で、今年3月より約3ポイント増加しています。「全額価格転嫁できた」割合は、前回から約3ポイント増の25.5%、「一部でも価格転嫁できた」割合も前回から約3ポイント増の79.9%と、増加しました。
 価格転嫁の状況は改善してはいますが、「転嫁できた企業」と「できない企業」で二極化がみられ、転嫁対策の徹底が重要です。


◆価格転嫁に関する発注側企業による説明

 今回調査では、価格転嫁に関する発注側企業による説明を初めて調査しました。価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業(全体の37.8%)のうち、発注側企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割ありました。一方で、「発注側企業から説明はあったものの、納得できるものではなかった」または「発注側企業からの説明はなかった」とする回答が約4割となっています。
 発注側企業に対し、価格交渉の場の設定のみならず、価格に関する受注側企業への十分な説明も求めていく必要があります。【中小企業庁「価格交渉促進月間(2024年9月)フォローアップ調査結果」】
https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241129001/20241129001-1.pdf



ハローワークにおける求人不受理の対象が追加されます


◆ハローワークにおける求人不受理の対象とは?

 ハローワークの求人は、労働関係法令の規定に違反し、企業名公表等の措置が講じられた者からの求人の申込みについては受理しないことができると、職業安定法の政令に規定されています。
 例えば、労働基準法や最低賃金法の規定に、過去1年間に2回以上、同一条項違反で是正指導を受けた場合は是正後6カ月経過まで不受理となります。送検・公表された場合は、送検後概ね1年経過まで不受理となります。また、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の規定に違反し、是正を求める勧告等に従わずに公表された場合も是正後6カ月経過まで不受理となります。


◆改正育児・介護休業法の施行にあわせて求人不受理の対象が追加

 2024年の通常国会で成立した改正育児・介護休業法は、一部が2025年4月1日と2025年10月1日の2回に分けて施行されます。この改正法の施行にあわせて、求人不受理の対象が追加されます。
 具体的には、労働者が家族の介護の必要性に直面した旨を事業主に対して申し出たことを理由とした不利益取扱いの禁止への違反が、2025年4月1日から追加されます。
 また、(1)労働者から確認された就業に関する条件に係る意向の内容を理由とした不利益取扱いの禁止、(2)柔軟な働き方を実現するための措置(3歳から小学校就学までの子を養育する労働者に対する始業時刻等の変更等の措置)の実施義務、(3)事業主が講じた柔軟な働き方を実現するための措置に係る申出をしたこと等を理由とした不利益取扱いの禁止を定めた規定への違反について、2025年10月1日から追加されます。【厚生労働省「第376回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料」】https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45125.html



外国人技能実習生の転籍要件が明確化されました


◆技能実習の運用要領を改正

 出入国在留管理庁が、外国人技能実習の運用要領を改正し、転籍を可能とする場合の要件に、「ハラスメントを受けている場合」が明記されました。技能実習生の失踪の増加や、外国人労働者に対する人権侵害に対する批判が国際的にも高まっていることを受けた対応だと思われます。
 技能実習生は原則3年間転籍ができませんが、「やむを得ない事情」があったときは、受入企業を変更する転籍が認めています。
 これまで、この「やむを得ない事情」にどのような場合が該当するのか定義があいまいでしたが、暴行や各種ハラスメント(暴言、脅迫・強要、セクハラ、マタハラ、パワハラなど)を受けている場合、重大悪質な法令違反・契約違反があった場合に転籍できることが明確化されるとともに、直接被害を受けた技能実習生だけでなく、同僚の技能実習生についても対象となりました。
 技能実習であるからといって、ハラスメントや賃金不払いなどの法違反が許されないことが明確にされた形です。また、転籍を申し出るための専用様式も作成されたそうですので、今後は転籍の申出がなされやすい状況となったようです。


◆技能実習制度は「育成就労制度」へ

 労働基準法違反・法定労働時間を超えた労働、労働安全法違反、労災隠し、賃金未払い、実習計画に基づかない実習などは、認定の取り消しや是正指導、送検等につながります。
 技能実習制度はあらたに「育成就労制度」への見直しが行われます。新たな制度は2027年の開始が見込まれますので、今後の動向に注意しておきましょう。【「技能実習制度における「やむを得ない事情」がある場合の転籍の改善について」】https://www.moj.go.jp/isa/applications/titp/10_00216.html



当事務所よりひと言
 今年の十二支はヘビ。脱皮を繰り返して成長するため、永遠や生命、再生の象徴とされています。事業運営も同じく成長していきたいものです。

村松事務所便り 2024年12月号(vol.251)

立ち作業の負担軽減対策


◆立ち作業による体への負担
 工場のライン作業や、工事現場における交通誘導作業、スーパーの会計作業など様々な場面で見られる「立ち作業」は、業務に集中しやすい、とっさに動きやすいといったメリットがある一方で、長時間持続的に行われると足腰等への負担が大きくなり、作業効率も落ちるといったデメリットもあります。従業員の負担を軽減するために、事業者として何ができるか、見てみましょう。

◆労働安全衛生規則の規定
 まず、労働安全衛生規則615条では、就業中にしばしば座ることのできる機会のあるときには椅子の備え付けを事業者に義務付けています。
 「(立業のためのいす)第615条 事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。」
 必ずしも座って作業をすることを求めているものではありませんが、立ち作業にともなう従業員の足腰の負担を軽減するためには、作業時間の短縮やこまめな休憩の取得等を行うことや、作業中に座ることができるイスを設置するなどの対策が考えられます。

◆企業の取組事例
 厚生労働省のホームページに、小売業、警備業、その他事業と産業ごとに各企業での「立ち作業の負担軽減対策の取組事例紹介」がされています。

【事例1】スーパーマーケットのレジ作業
 軽く腰を掛けられるイスを設置し、接客の合間などに座っての待機を可能にした。レジの足元にクッション性のあるマットを設置。 レジ以外には、可動式の陳列棚の導入により、品出しの作業効率を上げるとともに、中腰姿勢の時間を削減。

【事例2】警備業
 座ることで、疲労・ストレスの軽減、心拍数・血圧などの上昇の抑制、身体的な負担が軽減されるとの研究結果をもとに、座哨しての警備を実践。座哨警備を行う際には、事前に現場の責任者と話し合い、作業場所と警備の位置関係や交通量を確認、安全第一で実施。
 その他、高さのないパンプスやスニーカーでの勤務を可能にすることで、立ち作業における足腰の負担軽減対策をしている例もあるようです。いずれの事例でも費用の目安は数万円でした。 
【厚生労働省「立ち作業の負担軽減対策の取組事例紹介」】→サイトがありますので、ご覧ください。

新法施行前のフリーランス取引状況
~公正取引委員会・厚生労働省の 実態調査結果と必要な対応(厚労省関係)

 フリーランスとして働く人々が安心して働ける環境を整備する目的で、11月1日に特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス法」)が施行されました。これを踏まえ、公正取引委員会と厚生労働省は共同で、新法施行前のフリーランス取引の実態を把握するために、様々な業界のフリーランス労働者と委託者を対象に、取引条件や契約内容、報酬の支払い状況などの実態調査を行いました。

◆調査結果の概要と必要な対応(=厚労省関係の育児介護等と業務の両立配慮とハラスメント対策の整備)

○フリーランス法の認知度
 新法の内容をよく知らないと回答した委託者は54.5%、フリーランスは76.3%と、双方ともに認知度が低い結果が出ています。業種でみると、建設業と医療、福祉での認知度の低さが目立ちます。

○取引条件の明示
 取引条件を明示しなかったことがある割合として、委託者は17.4%、フリーランスは44.6%と回答しており、いずれも建設業において多くみられます。

○買いたたき
 報酬の額について十分な協議がなされていない割合として、委託者22.2%、フリーランス67.1%と大きく差がついており、フリーランスの不満の声が多く寄せられています。

○募集情報の表示
 業務委託の募集広告内容と実際の業務内容に違いがあったとする割合は、委託者で2.6%、フリーランス53.1%と差が大きく、特に生活関連サービス業や娯楽業でフリーランスにとって掲載内容の誤りや誤解を生じさせる表示であったとの意見が多くありました。

○育児介護等と業務の両立配慮
 妊娠・出産・育児・介護の事情に関して、業務との両立のため、委託者に配慮を求めたいフリーランスは70.7%に上ります。それに対し、応じていないと回答した委託者は0%で、フリーランスは6.8%が対応してもらえなかったと回答。
<育児介護等への配慮:6か月以上の業務委託については配慮義務があり、6か月未満の業務委託は配慮するように努める。>

(事例)
 特定受託事業者(フリーランス)が、育児介護等の配慮に関すること(「①子の急病で入院したため、納期を延期してほしい。」「②介護のためオンラインでの業務に変更したい。」を、特定業務委託事業者(委託元)へ申し出る。

(実際の対応方法)
 特定業務委託事業者(委託元)は、申出の内容等を把握し、取り得る選択肢を検討する。

(実際の対応事例)
①実施できる場合:納期を変更します。
 ⇒配慮の内容の伝達・実施
②やむを得ず実施できない場合:今回は作業が必要なので、オンラインへの変更は難しい。
 ⇒配慮不実施の伝達・理由説明
※申出があったとき、対応を講じることが必要で、検討した結果、上記のとおり、実際に配慮することができないことは法違反ではない。

○ハラスメント対策の整備
フリーランスへのハラスメント対策が整備・社内通知されていない委託者は51%と、体制整備の遅れが目立ちます。

(実際の対応方法)
 特定業務委託事業者(委託元)が講ずべき措置(以下の主要3つ)として、自社の“職場のハラスメント対策”と同様に考える。また、相談者や行為者などのプライバシー保護と自社の従業員やフリーランスの方へ不利益な取扱いをしない旨を周知・啓発する必要があります。
(1)ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発
(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口の設置など)
(3)業務委託におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

 以上、法施行前のフリーランスの労働環境は、生活が不安定になるリスクが多く、不満が募る状態となっていたことがわかります。新法の施行により、これらの問題が改善されることが期待されます。