貴社の取得状況はいかがですか? 有給休暇取得率が66.9%で過去最高に
~厚生労働省「就労条件総合調査」
◆年次有給休暇取得率が過去最高に
厚生労働省の「令和7(2025)年就労条件総合調査」によれば、令和6年の労働者1人当たりの年次有給休暇取得率は66.9%、平均取得日数は12.1日でした。これは過去最高の数値で、また近年は過去最高を更新し続けていることから、年休の取得促進が進んでいることがうかがえます。
中小企業では、業務量の偏りや代替要員の確保が難しいことなどから、年休取得が進みにくい傾向があります。しかし、年休取得促進は、従業員の健康確保・離職防止・生産性向上に直結する重要な取組みです。また採用の観点でも、「きちんと休める会社か」は若年層や育児世代を中心に関心の高い項目です。大企業が週休3日制などを取り入れる中で、同業他社と比べて著しく取得率が低かったり、促進の取組みを何もしていなかったりという状況では、人材確保が困難となる可能性があります。
◆年休取得促進のポイント
① 計画的付与制度の活用
年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を締結する等により、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。繁忙期・閑散期を見据えて計画的に付与することで、事前に業務調整を行いやすくなります。
② 休みやすい職場環境の整備
仕事はチームで行うという認識のもと、特定の担当者しかできない業務を減らすことで、休みやすい環境を整えることができます。情報共有による属人化防止が実践のカギです。また、上司の姿勢や職場の空気が取得率に大きな影響を与えます。管理職研修や取得状況の可視化が有効です。
【令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省】
不妊治療の公的サポート拡充
2026年4月から、1時間以上かけて不妊治療に通う場合の交通費が助成対象となる見込みです。
近年、子育て支援だけでなく、不妊治療への支援制度を導入する企業が増加しています。従業員のワークライフバランスに係る支援は、雇用満足度や定着率の向上につながる注目度の高い施策です。福利厚生などの制度導入と共に、国の支援事業活用も案内することで、充足した両立支援を目指しましょう。
◆概 要
こども家庭庁が、妊産婦等が適切な医療や保健サービスを居住地にかかわらず受けられるよう、経済的負担の軽減を図ることを目的として始まった、妊産婦等に対する遠方の分娩取扱施設等への交通費等支援事業における交通費の助成対象を拡充しました。
具体的には、各市町村の判断により①妊婦健診、②出産、③産婦健診、④産後ケア、⑤乳幼児健診、⑥不妊治療についての6項目から適宜選択して実施されます。自宅から最寄りの分娩取扱施設等までおよそ60分以上要する場合に、公共交通機関や自家用車を利用して移動した際の交通費の8割が補助されます(③~⑥が本年より新たに追加される項目)。
◆その他の関連支援事業
不妊治療・不育症等ネットワーク(カウンセラーによる相談支援や里親・特別養子縁組制度の紹介、ピア・サポートなど)や、不妊治療および女性の健康課題対応両立支援を実施している事業者向けの助成金の活用も併せて検討しましょう。
従業員が不妊治療等により雇用形態の変更や退職などに踏み切る必要のないよう、職場環境を整備しましょう。
「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」が公表されています~厚生労働省
◆無期転換ルール、多様な正社員等に関する裁判例等をまとめた資料を公表
有期契約労働者の無期転換前の雇止め等や多様な正社員等の労働契約関係については、実務においてトラブルが多いところです。
厚生労働省はこのようなトラブル防止を目的に、2025年12月23日、無期転換ルール、多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する裁判例や労働関係法令等の考え方等を整理した「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」を取りまとめて公表しています。
◆資料で示されている項目
資料では、例えば以下のような項目について、裁判例や考え方が示されています。
(無期転換ルール〉
・無期転換申込権発生前に新たに(一方的に)更新上限を設定して上限を理由に雇止め
・当初の契約締結時から更新上限を設定して無期転換申込権発生前に雇止め
・再雇用を約束した上で雇止めをし、クーリング期間経過後に再雇用 ・細切れな定年を設定し、 無期転換後、数 年で定年退職☞その後、有期雇用で無期転 換申込み権の行使ができない形となる。
・無期転換申込みを行ったこと等を理由とする不利益取扱い
(多様な正社員)
・労働条件の変更
・限定合意と配転命令
・勤務地限定や高度な専門性を伴わない職務限定と整理解雇法理の判断の傾向
・能力不足解雇
◆企業実務の参考に
資料で掲載されている裁判例はいずれも個別の裁判例であり、事案によって異なる判断となる可能性がある点は留意するよう注書きもされていますが、押さえておくべき論点が多く盛り込まれていますので、ぜひ実務の参考にしてください。
○最後までありがとうございました。



