村松事務所便り 2026年5月号(vol.268)

マイカー通勤手当の非課税限度額が改正されました


◆マイカー通勤手当の非課税限度額が引上げ
 令和8年4月1日以後に支給される通勤手当から、マイカー通勤(自動車・自転車等の交通用具を使用した通勤)に係る非課税限度額が改正されました。給与計算や通勤手当の取扱いに影響する内容で、改正のポイントは2つです。

① 片道65㎞以上の非課税限度額の引上げ
 改正前の非課税限度額は、通勤距離が片道55km以上の人は一律38,700円/月額でしたが、片道65㎞以上について、下記のように引き上げられました。
・片道65km以上75km未満 → 45,700円
・片道75km以上85km未満 → 52,700円
・片道85km以上95km未満 → 59,600円
・片道95km以上 → 66,400円
 これにより、片道65km以上のマイカー通勤者に対し、これまで課税対象となっていた一部の通勤手当が非課税で支給できる可能性が生じます。

② 駐車場料金相当額の非課税限度額への加算
 マイカー通勤者が一定の要件を満たす駐車場等(※)を利用している場合、その駐車場料金相当額(上限5,000円/月額)を、通勤距離の区分による非課税限度額に加算できることとなりました。
※マイカー通勤で使用する駐車場等のうち、通勤手当をもらう人の勤務場所の周辺または通勤のために利用する交通機関の駅もしくは停留所その他の施設の周辺にあるもの。


◆対応の留意点
 上記は、「令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」から適用されます。
 自社のマイカー通勤者の通勤距離区分や駐車場代の支給方法について、関連する社内規程等を改めて確認し、正しい給与計算に努めましょう。対象者に改正があったことを知らせておくことも重要です。

【参考】
通勤手当の非課税限度額の改正について|国税庁


早期離職する若者の離職理由と労務管理のヒント

 
 新卒・若手社員の早期離職が企業課題となっています。独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が行った「若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」結果から、「新卒就職者が初めての正社員勤務先を離職した理由」と労務管理のヒントを探ります。


●離職理由の傾向
 調査は2016年に第1回、2019年に第2回、2025年に第3回が行われ、各回の対象年齢や質問項目は厳密には一致しません。しかしながら、第2回・第3回の離職者全体の回答では、男女とも「労働時間・休日・休暇」「賃金の条件」「健康を損ねたため」「人間関係」が上位に入り、これらが普遍的な離職理由であることがうかがえます。
 また、勤続1年以内に離職した若者で突出する離職要因は、男女ともに「健康を損ねた」「人間関係」「自信喪失」となっており、入職直後の職場や仕事への適応が職場定着に重要であることが確認できます。
 他方で、5年超勤続者の離職では「キャリアアップ」「希望条件に合う仕事が見つかった」「結婚・出産・育児」が高く、前向きな理由が増加しています。


●労務管理のヒント
 第3回調査では、仕事や働くことについての悩みを相談できる相手がいるか否かによって若者の職場定着状況は大きく左右されると予想し、相談状況を分析しています。
 すると、早期に離職した若者ほど悩みがあっても相談しないまま離職した傾向がみられ、離職者は勤続者と比べて職場のコミュニケーションが不足している傾向も指摘された、としています。
 不本意な早期離職を防止し職場定着を推進するには、だれでも利用できる「入職直後に相談できる場」を職場外に整備することが重要であると、結論づけています。

【参考】
調査シリーズNo.250【本文】『若年者の初職における経験と若年正社員の離職状況―第3回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査―』|労働政策研究・研修機構(JILPT)


「在留カード等読取アプリ」をご存知ですか?


◆外国人政策の見直しが進められています
 外国人旅行客や日本で働く外国人が増える一方、受入れをめぐる問題が顕在化し、政府は、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(1月23日決定。以下、「総合的対応策」という)を策定しました。


◆外国人雇用に関する取組みも
 総合的対応策では、不法滞在や不法就労への対策として、在留カードの偽造変造対策、不法就労助長者の取締まり強化とともに、企業が「在留カード等読取アプリ」を使用して在留カードの確認を行うことを挙げています。
 また、外国人の雇入れ時・離職時に企業が提出する「外国人雇用状況の届出」の運用改善も挙げています。


◆「在留カード等読取アプリ」とは
 国が無料で提供するアプリケーションで、スマートフォンやパソコンにダウンロードして使うことができます。本人の同意を得てカメラで在留カードのICチップを読み取った後、在留カード表面に印刷されている在留カード等番号を読み取ると、ICチップ内の情報と印刷情報を照合することができます。
 「外国人雇用状況の届出」には、虚偽の届出等に対し30万円以下の罰金もありますので、外国人労働者に在留カードの提示を求め、届出事項をきちんと確認することが重要です。


◆「外国人雇用状況の届出」の運用改善
 厚生労働省は検討会で議論を行っており、年1回程度の定期的な報告が必要ではないかという意見や一律に追加的な事務負担を求めるべきではないとの意見があります。今後の動向に注意しましょう。

【参考】
外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議
・アプリチラシ【001572156.pdf
外国人雇用対策の在り方に関する検討会|厚生労働省